昨晩の続きです。
フィギュア・スケートのプログラムで頻繁にピアソラの曲が使われるという話をしました。
一般的に、アルゼンチンタンゴの曲は・・・というと、ラ・クンパルシータとピアソラのリベルタンゴをあげられる方が圧倒的に多いはずです。 ピアソラが日本でメジャーな理由は、日本で最も有名なバンドネオン奏者の小松亮太さんがピアソラの曲を良く演奏なさるからということもあるかもしれませんし、テレビコマーシャルにも使われたり、またはこうしてフィギュア・スケートのプログラムにも使用されるからかもしれません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9D%BE%E4%BA%AE%E5%A4%AA
私もピアソラが好きでアルゼンチン・タンゴを聞き始めました。 ところが・・・、いざアルゼンチン・タンゴのダンスを習ってみると、ピアソラの曲でレッスンをすることはまずないし、皆が集まって踊るミロンガ・パーティーにおいても、ピアソラの曲がかかることはほとんどありません。 そもそもアルゼンチン・タンゴはダンス・ミュージックですが、ピアソラは“踊るタンゴ”ではなくて“聴くタンゴ”を想定して作曲したのだそうです。 実際、ピアソラの曲を、通常習ったステップでマノビしないで踊るのは難しい。 多くのタンゴ・ショーでプロのダンサーがピアソラの曲で踊っていますが、アルゼンチン・タンゴ独特のステップや足裁きに加えて、クラシック・バレエとアクロバティックなリフティングを多様した振り付けになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=KkEmnFBq3R0&feature=related
凄いですね~。 (暗くてよくみえませんでしたか?) こっちもどうでしょう?
http://www.youtube.com/watch?v=eKApx0WgUhY&feature=related
しかし、コレはあくまでもショー・ダンスなんです。 こんなに踊れたら、世の中怖いものがなくなるかも!!
ピアソラが“聴くタンゴ”を標榜していたとすれば、“踊るタンゴ”を作曲したり編曲した代表的なマエストロは、カルロス・ディ・サルリです。 以前、ダンスの先生に伺ったのですが、ディ・サルリはご自分も踊るのが好きだったそうです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%AA
アルゼンチンのバイア・ブランカという港町で生まれたそうで、この街から出た偉大な人物ということで銅像があると聞いたことがありますが、ネットで見つけることは出来ませんでした。ご自分の生まれ故郷を曲のタイトルにもしました。 つまりバイア・ブランカという曲です。
http://video.google.co.jp/videoplay?docid=8595496740227906211&ei=iqeMS4iALoGowgPSr8m1CA&q=BAHIA+BLANCA%E3%80%80Carlos+di+Sarli&hl=ja#
この映像、サンドラ・カメロン・ダンススクールというところの生徒さん達の発表会の模様ですね。 私にとっては、結構面白い! そして、私達が普段習っているタンゴのダンスはこんな感じです。次はプロのバイア・ブランカのパフォーマンス!
http://www.youtube.com/watch?v=-j_67gfJ8vA
こちらはこちらで、ステキですね~。 ところで、カルロス・ディ・サルリの写真はいつもサングラスをかけていますが、これにはワケがあるのだと、タンゴ愛好家のSさんから教えていただきました。 マエストロのご実家は、銃を販売するお店をやっていたそうです。それで、マエストロが子供なんだか若い時、ある土曜日に“さー、今日は家族皆でピクニックだ”と言っていた矢先に銃が暴発して、カルロス少年の目の辺りにあたってしまって、楽しいはずの土曜日が悲惨な土曜日になってしまったのだそうです。 マエストロは怪我の痕を気になさっていつもサングラスをかけていたということです。
ということで、タンゴダンスに向いている曲、そうでないタンゴの曲がありますが、今後もフィギュア・スケートなどのパフォーマンスにアルゼンチン・タンゴの曲が使われて、多くの方々がそれを機会に曲に触れてもらいたいと思います。 あと、もう一つ思ったことは、将来的にアルゼンチン人のフィギュア・スケーターがアルゼンチン・タンゴを踊るかのごとく、フィギュア・スケートをしている姿をいつか見てみたいです。
そしてそして、またもや昨日の続きのオリンピックのフィギュア・スケートの話に戻ります。 だって、とても不思議な事に気がついたんです。
金メダルのライザチェック選手のフリー演技(曲目シェヘラザード)とキム・ヨナ選手のフリー演技(曲はガーシュインのピアノ協奏曲)は本当に完璧でした。 演技が終わって、ワー凄いと思ったのですが、完璧すぎてか、心に残っていることは“凄い完璧だった”ということで、演技内容でココが好きとかココが良かったと思う場所とかがないんです。 私の心に残っている事をまとめると・・・。
キム・ヨナ選手が、ショートプログラム(SP)で妖艶に007のボンドガールを滑ったこと。
ライサチェック選手が、SPでダイナミックに火の鳥を滑ったこと。
浅田真央ちゃんが、SPで華麗に仮面舞踏会を滑り、フリー(ロング)・プログラム(LP)で重々しい鐘という曲に合わせて凄い形相で観客に訴えかける演技をしたこと。
高橋大輔選手が、SPで表現豊かにEYEという曲を滑り、LPの道という曲では喜怒哀楽の全てを凝縮して表現したこと。
アメリカの長洲未来選手がLPで可愛らしいカルメンを滑ったこと。
スイスのランビエール選手が、SPでは母国の英雄ウィリアムテルを、LPでは椿姫をエレガントに滑ったこと。
鈴木明子選手が、LPでウェストサイド・ストーリーを素晴らしいステップで魅せてくれたこと。
織田選手のLPのチャップリンは確かに緊張が伝わってきましたが、靴紐がとけてしまって演技を中断せざるを得なかったのに、最後まで立派に滑りましたね。 喜劇王チャップリンの人生も必ずしも良いことばかりではなかったようですから、こんなハプニングもチャップリンならでは? それとも、まさかチャップリンの悪戯でしょうか? でも最後まで立派に演じた織田選手をチャップリンも天国で喜んでくれていると思います。
小塚選手のLPのギター・コンチェルトは、とにかく清々しかった。 そうだ、小塚選手はキッス&クライで他の選手同様に、自分の身内とか友人とかに“ありがとう”とかメッセージを述べていましたが、最後に自分の次に滑る若いデニス・テン選手に対して“デニス頑張れ~” と言っているのが聞こえました。 気持ちが良いですね!
出来ることなら私が“さわやか賞”と題して金メダルを小塚選手に進呈したい気持ちです。
追伸: 男子5位のアメリカのジョニー・ウィアー選手の今期のエキジビションプログラムをリンクします。 SPもLPもノーミスで、とても良かったけれど、私が最もすきなのは彼のこのエキジビション。
http://www.youtube.com/watch?v=R5vQq0t0kg0
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